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日本語原著論文の英訳を科学基礎論学会欧文誌に掲載する制度の導入について

2018年5月
科学基礎論学会編集委員長 松本俊吉
日本科学哲学会編集委員長 伊勢田哲治

趣旨説明

 従来、日本における科学哲学・科学基礎論分野の研究の国際的な認知度が低いことが指摘されてきました。その一つの理由として、内容的には優れた論文であっても、日本語で書かれているために、同じ分野を研究する英語圏の研究者に読まれないという点が指摘されてきました。そこでこのたび日本科学哲学会と科学基礎論学会は、両学会の雑誌にすでに査読を経て掲載された日本語論文について、その英訳を、科学基礎論学会の欧文誌Annals of the Japan Association for Philosophy of Scienceに今後掲載していく制度を導入することにしました。以下の要領に従い、ふるってご投稿ください。

投稿要領

1 英訳の対象となる論文
『科学哲学』『科学基礎論研究』に掲載された査読論文(正規の査読を経たもの、並びに依頼論文に限る)。


2 英訳
英訳は著者の責任で行う。訳者は著者本人である必要はないが、著者以外の第三者が翻訳した場合はその名前を明記すること。完成した英文はネイティブチェックにかけることを強く推奨する。


3 英訳と元論文との内容の同一性
この制度によりAnnalsに掲載される英訳は、元論文と内容的に同一のものでなければならない(したがってまた、この英訳は「原著論文」としてはカウントされない)。英訳の際には、元論文にある明白なミス等は修正してもよいが、修正を行った箇所は、文書内で明示するか別のファイルで箇条書きにして整理するなどして、異同が分かるようにすること。再査読が必要となるような内容上の変更は認めない。ただし、元論文出版時からの学問的状況の変化に鑑みて特に断っておく必要のある若干の点について、補注あるいは補遺の中でコメントを加えることは認める。


4 投稿
投稿は、英訳とネイティブチェック作業が済んだ段階で受け付ける。それぞれの学会の一般査読論文の投稿と同じ手続で投稿すること。その際、「日本語元論文の英訳」の投稿であること、元論文のタイトルと掲載号、そしてネイティブチェックを受けた場合はどのような種類のチェックを受けたのかを明記すること。


5 審査
『科学哲学』掲載論文の審査は日本科学哲学会の編集委員会で行い、『科学基礎論研究』掲載論文の審査は科学基礎論学会の編集委員会で行う。著者名のブラインド化は行わない。審査は元論文との内容の同一性および英文の妥当性に関して行い、内容的な査読をあらためて行うことはしない。内容的に元論文との間に看過できないずれがある場合、および英文が掲載に値する水準に達していない場合は、編集委員会は却下ないし書き直しの決定を行う。なお、『科学哲学』側の論文については、審査終了時点で科学基礎論学会側の編集委員会へ論文を転送し、以後科学基礎論学会側が著者とのやりとりを行う。


6 掲載
審査の終了した論文は、順次科学基礎論学会の欧文誌Annals of the Japan Association for Philosophy of Scienceに掲載される。この英訳論文は、原著論文のカテゴリー(‘Papers’)とは別の、‘Translations’というカテゴリーの下に掲載される。個々の英訳論文内においても、原著論文ではないことがはっきり分かるように、元論文の書誌情報とその翻訳であることが明記される。その他についてはAnnalsの一般投稿論文の規定に準ずる。

追加のお知らせ

上記の事例とは別に、この制度の下に、広く国際的に認知される価値のある日本語論文を、著者以外の第三者が英訳し投稿することも、歓迎します。その場合には、投稿予定者は、 まず著者ないし著作権者から、翻訳の許諾をうけてください。次に、当該論文の翻訳計画を科学基礎論学会編集委員会に提出してください(その書式は別途定めます)。編集委員会ではその論文の国内での評価などを参考に、翻訳開始の可否についての決定を下します。投稿者は翻訳開始可という連絡を受けてから翻訳の作業にとりかかってください。翻訳完成後の投稿は、上記の投稿要領に準じます。特に以下の点に気をつけてください。
・英訳は投稿者の責任で行う。
・完成した英文はネイティブチェックにかけることを強く推奨する。
・原論文出版時からの学問的状況の変化に鑑みて、特に断っておく必要のある若干の点について、補注あるいは補遺の中でコメントを加えることを認める。
・審査は元論文との内容の同一性および英文の妥当性に関して行われる。
・審査の終了した英訳論文は、科学基礎論学会欧文誌の‘Translations’のカテゴリーに掲載される。