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イベント情報

メタ意味論研究会 [2020年02月10日]

開催日:2020年3月22日

会場:東京大学駒場Iキャンパス18号館4階コラボレーションルーム4

飯田隆氏と折田奈甫氏をお招きして、言語哲学と言語科学に関する研究会を下記の通り開催いたします。事前予約は不要です。みなさまのご参加をお待ちしております。

日時:2020年3月22日 (日)14:00-17:30
場所:東京大学駒場Iキャンパス18号館4階コラボレーションルーム4

スケジュール
14:00-14:10 イントロダクション

14:10-15:30
折田奈甫(東京理科大学):「計算心理言語学と意味 —話者のモデルと言語獲得のモデルを例に—」
要旨:計算心理言語学は、人間の言語処理・獲得の仕組みの解明を目指す心理言語学的問題に対して、計算論的アプロー チで取り組む学問である。数理モデルを用いた明確な仮説の構築と、計算機を用いた定量的な仮説の検証を一貫して行うという特徴を持ち、これまで、言語獲得、文処理、音声知覚などの様々な問題に関する新たな知見が提案されてきた。本発表では、発表者がこれまでに取り組んできた、英語話者の指示表現選択のモデルと、日本語学習者の動詞の意味クラスの学習モデルを例に、計算心理言語学的研究を紹介し、言語哲学との接点を探りたい。

15:40-17:00
飯田隆:「複数論理とホモフォニックな意味論」
要旨:自然言語における複数性を扱う方法は二通りある。ひとつは、一階述語論理の言語をメタ言語として採用し、その対象領域に、単独の対象だけでなく、複数の対象を表す対象として、単独の対象を要素としてもつ集合、単独の対象から成るグループ、単独の対象のメレオロジカルな和といった「複数的対象」を導入する方法である。もうひとつは、対象領域は単独の対象だけから成るとし、その代わりに複数論理の言語をメタ言語として採用することである。クワイン流に言えば、前者はイデオロジーはそのままで存在論(オントロジー)を増やす方法であり、後者はその逆にオントロジーはそのままでイデオロジーを増やす方法である。
 現在のところ、言語学においては前者が主流であり、後者を取る言語学者は少ない。これに対して、複数性について論じている哲学者の多くは、前者には根本的な難点があるとして、後者の方法を取るべきだと論じる。その主要な理由は、複数的対象を導入する方法では、複数性を単称性と同化することになるゆえに、複数性を正しくとらえることはできないという点にある([1]を参照)。また、複数的対象の導入がパラドックスに導くという議論([2])もある。
 今回検討したいのは、日本語のような言語に関しては、複数論理をメタ言語として採用することが、よりホモフォニックな意味論を可能とするゆえに、「標準論理+複数的対象」という方法よりもすぐれているという考えである。そのためには、ホモフォニックな意味論とは何か、なぜそれが意味論として望ましいのか、自然言語に関してそのような意味論を構成することははたして可能かといった問い([3})に答える必要がある。ここでは、こうした問いに答えるための端緒を開くことを試みる。

参照文献
[1] 飯田隆「複数論理と日本語意味論」西日本哲学会編『哲学の挑戦』二〇一二年、春風社、402-437頁。
http://dep.chs.nihon-u.ac.jp/philosophy/faculty/iida/doc/PluralLogicAndJapaneseSemantics.pdf
[2] A, Oliver and T. Smiley, “Strategies for a logic of plurals”, Philosophical Quarterly 51 (2001) 289-306.
[3] 飯田隆『言語哲学大全IV 真理と意味』二〇〇二年、勁草書房。索引項目「ホモフォニックな意味論」で挙げている箇所を参照。

17:00-17:30 ディスカッション

お問い合わせ先:藤川直也(東京大学) fjnaoya [at] gmail.com
本研究会はJSPS科研費19K00035の助成を受けたものです。

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最終更新日 - (c)2006 科学基礎論学会
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