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イベント情報

「メタ哲学セミナー:倫理学の方法論」のお知らせ [2018年07月10日]

開催日:2018年7月22日

会場:東京大学駒場キャンパス

  1. メタ哲学セミナー:倫理学の方法論

日時:2018年7月22日(日)14時から18時
場所:東京大学駒場キャンパス14号館308号室

趣旨:講義の哲学のなかで、倫理学はメタ的な考察が古くから展開されてきた分野の一つである。しかし、20世紀前半のメタ倫理学が道徳的言明の分析をおもな関心としていたのにたいして、近年では、道徳的性質の存在論や道徳性にかんする経験的研究の含意など、メタ倫理学の関心は多岐にわたっている。本セミナーでは、倫理学の方法論にかんするメタ倫理学的な問題を取りあげたい。

発表1:14時から16時
「倫理における専門性expertiseとコンピテンス」
鈴木 真(名古屋大学) 要旨:実験哲学においては、倫理学者が直観においても行為においても専門性を持っていない―特に優れているわけではない―ということを示唆する結果が出されており、それはそれで興味深い結果である。しかしこうした実証研究や議論は倫理学における専門性の議論とは別の文脈で行われており、そもそも現代の倫理学者のほとんどは自分たちが直観や行為において専門性を持っているなどとは言わないと思われる。従順obedienceではなく自律autonomyが徳とみなされ、倫理的問題に関する不一致が認知されるようになった近現代においては、かなり多くの人は、倫理学者たちも含めて、倫理において専門性が成り立つということに懐疑的になった。道徳の専門家―あるいは少なくとも相対的に道徳能力が高い人―がいて、その人の道徳判断に倣うということが適切な場合がある、という趣旨の主張は、そもそも論争を呼ぶものだったのである。本発表では、通常の大人は子供などが持っていない道徳判断能力を持っており、子供は親や先生などの年長者の道徳判断に倣うことが適切とみなされる場合があるという現象を導きの糸にしながら、いかなるタイプの専門性がどのような条件の下では成立しうるのか、ということを検討する。さらにこの検討結果が、倫理学、それから実験哲学や行動・発達科学の研究の方向性に、いかなる含意を持つのかということを簡潔に考察する。

発表2:16時から18時
「道徳的直観の信頼性:進化的暴露論証と道徳心理学からの批判」
鈴木 貴之(東京大学)
「規範倫理学の理論構築においては、理論と個別事例についての直観とのあいだで整合性を高めていく反省的均衡が有力な方法論だと考えられている。しかし近年、道徳的な直観の信頼性を疑問視するさまざまな議論が提出されている。その一つは、われわれの道徳的直観は道徳的な善悪ではなく、適応度を高める何らかの性質を追跡するものであるという進化的暴露論証であり、もう一つは、われわれの道徳的直観は無関係であるべきさまざまな要因の影響を受けるため信頼できないというような、実験哲学や関連する経験的な道徳心理学研究にもとづく批判である。本発表では、進化論的な暴露論証と実験哲学的な批判はどのような関係にあるのか、反省的均衡を擁護する人々はこれらの批判にたいしてどのように応答できるかを考察したい。」

・事前登録は必要ありません。
・本セミナーは、科学研究費補助金基盤研究(B)「哲学的知識の本性と哲学方法論に関するメタ哲学研究」(研究代表者:鈴木貴之)による研究活動の一部です。

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最終更新日 - (c)2006 科学基礎論学会
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